2007年10月 6日
温暖化は有機農業の最大の障害かも(その2)
ところでSさんは、この畑で困ったことに直面しました。畑の隣に慣行栽培の隣人がブロッコリーを作っています。今までこの畑でも他の畑でもどんなに害虫が出ても、自分の作物がやられるだけですんでいましたが、今回、ヨトウムシは、ニンジンに飽きると隣の畑へ移動を始めたのです。

この写真に写っているのは一匹だけですが、大挙して移動を始めました。このような大移動はヨトウムシが発生した場合、畑作地帯ではまれに見られることです。道路を渡って移動し、車のタイヤがスリップするようなケースもあります。
それが隣の畑に移動してしまったため、隣人からついに苦情が出ました。問題はこの畑が有機栽培圃場だったことです。
有機栽培圃場に農薬を使えば認証は取り消しです。
このような時にどうしたらいいのか、まだ結論を出さぬままヨトウムシは見えなくなっています。
どうやら農薬を使って防除し、この畑の有機認証はあきらめる、ということになりそうです。
さんぶ野菜ネットワークのメンバーには同様のケースが他にもありました。
Uさんの場合、やはりヨトウムシが発生し、隣地に被害が及ばないようにと、ヨトウを手で取ることにしました。丸一日取り続け、その量たるや「肥料袋に半分だよ!」
肥料袋というのは、米の30㎏袋くらいの大きさです。その半分が埋まるヨトウムシの量というのは、想像するのもおぞましい感じがします。
手で虫を取るということでいうと、富谷亜喜博さんはこの日、ブロッコリーの芯についているシンクイムシを取っていました。まだ小さなブロッコリーを覗き込み、芯にとりついている虫を一匹ずつ取るのです。「半日やって、2000個見たけど、500匹はいたな、腰が痛くて」
畑作の有機農業というのは、こういう地道な作業の積み重ねです。
今年のヨトウムシの発生は、山武全域ですが、畑の条件によっても違いがありました。富谷亜喜博さんの畑は無事でした。ヨトウガが卵を産み付けやすいかどうか、という条件の違いもあるのかもしれません、こちらではそれほど多くはならず、被害はほとんどありませんでした。

さらに比較のために、慣行栽培の圃場もお見せしましょう。
慣行栽培では、土壌消毒から始まって、発芽直後から殺虫剤、殺菌剤を数回使用します。

亜喜博さんの畑よりさらに立派に育っています。
この差は、農薬による予防が効果を発揮したということに加えて、化学肥料による初期成育の早さということもありそうです。
慣行栽培と有機肥料栽培は、(今回のような害虫発生のケースは別として)初期にどのくらい勢いよく成育するかどうかということが大きく違います。
同時に発芽して半月後の差というものは歴然としてあります。今回の場合、有機圃場のニンジンがまだ幼く、柔らかいところへヨトウムシが襲いかかったという感じがあり、その時期慣行栽培では、もちろん防除していることもありますが、既に葉も茎も大きく育ち、ヨトウムシが好まないくらいに堅くなっていた、ことが、この姿の違いになったといえるかもしれません。
もちろんヨトウムシはニンジンだけではなく、他の作物にもとりかかっています。
この写真は、里芋の葉に集うヨトウムシの集団です。
決して捕まえてきてこの葉に乗せたわけではありません。

今年の夏、内陸では最高気温を更新し、台風は大型化、しかも近海で発生しています。
各地で害虫も大発生。
昨年と今年、暑さにそれほどの違いはないようでも、地球のどこかで何かが動いてしまったのかもしれません。有機栽培はますます体を使う農業になりそうです。


