とくたろうさん  大地を守る会取扱商品「とくたろうさん」ブログ


2009年8月 1日

第2回 自家採種生産者会議

報告が遅れてしまいましたが、6月に開催された『自家採種生産者会議』の模様をお伝えいたします。

 

どうぞ、大地を守る会のエビちゃん日記"あんしんはしんどい"の、『自家採種で食文化と自立を守る』 と併せてご覧ください。現場の臨場感も感じていただけると思います。

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第2回 自家採種生産者会議 報告                                  

 

梅雨の合間の6月19日、第2回目となる自家採種生産者会議が、埼玉県桶川市で開かれました。
今回、開催場所の提供から、圃場の説明・研修まで、全てをお引き受けくださったのが、秀明自然農法ネットワークの理事長で、自家採種の実践農家、中村農園の中村三善さんです。             

 

中村さんは本庄市瀬山農園の瀬山明さんとともに、埼玉県有機農業推進協議会の副会長もされています。

 

今回の講演をお願いしたのは、埼玉県飯能市で固定種の種を扱われている、「野口のタネ 野口種苗研究所」の野口勲さんです。

野口さんには「とくたろうさん」の事前準備段階のときから、タネに関していろいろな話をうかがい、相談をさせていただいてきました。

今回、開催地が埼玉に決まったので、是非この機会に、タネをとりまく現状について、みなさんの前でお話を聞かせいただきたいと思い、講演を依頼しました。                         

 

当日は幸いにもお天気に恵まれて、大地を守る会の生産者・消費者理事・事務局のほか、秀明自然農法の関係者の方々も含めて、総勢100名近くが集いました。また、中村さんの交流関係から、埼玉県農林総合研究センター園芸研究所の根本先生、小川町・霜里農場の金子美登さん(埼玉県有機農業推進協議会会長)も参加され、と同時に金子さんを取材中のNHKと、野口さんを事前に取材していたTV東京のカメラも入り、当初の予想をはるかに超える、大勢でにぎやかな集まりになりました。                                                         

 

今回見せていただいた圃場の野菜は、玉ねぎ、ニンジン、ミニトマト、トマト、ししとう、長ナス、丸ナス、白ナス、キャベツなどです。キャベツはだいぶ虫にやられていましたが、中村さんは「いいところばかり見せていたんじゃ勉強にならんから、わざとこういうところも見てもらおうと思って残しておいた。」とおっしゃっていました。                                              

 

野口さんからは「モンシロチョウは、キャベツが日本に入ってくるときに一緒に渡ってきた。江戸時代まではモンシロチョウは日本にはいなかった。」という意外なお話も聞けました。以下にそのほかのお話を抜粋して紹介します。                                        

 

 

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(左)野口さん、(右)中村さん

 

中村 三善 氏                                            

秀明で本格的に自家採種を始めるようになって10年。基本は自分で種採りか、仲間に分けてもらう事。課題となっているのは北海道・東北のような寒冷地での採種と玉ねぎの採種。みんなで協力しあって自家採種をやっている。秀明自然農法ネットワークには種苗部があり、種苗部で「自家採種の手引き」を本にしてまとめた。                                          

 

4年ほど前から有機の生産者の人たちと交流を持ち始めたが、その時驚いたのは、自家採種をしている人が非常に少ないということ。種を採り始めたら作物はどんどん変わっていく。それが分るのは体験からしかないので、ぜひやってもらいたい。                                

 

有機農業には二つの技術が必要。それは作る技術と経営技術(手腕)。それにもうひとつは「思い」。有機農業を志しているのは、ライフスタイル・生きかただと思う。これからの農業を何とかしたい。そういう思いで、自家採種もこれからどんどん前に進んで行ければ良いと思う。                

 

 

講演:種をとりまく現状 『いのちの種を未来に』                                       

野口 勲 氏                                                    

 

遺伝子の中には、核の遺伝子のほかにミトコンドリアという小器官があり、ミトコンドリアの中にも遺伝子があり、これは母親だけしか子どもにつながらない。人間も植物もほとんど変わらない。どれもミトコンドリアを持っている。どんな細胞の中にもミトコンドリアを持っている。                

 

精子が卵子に到着した時に、精子のミトコンドリアの部分である尻尾は切り落とされる。そのため父親のミトコンドリア遺伝子は、母親には入らない。たまに間違って入った精子のミトコンドリア遺伝子は、受精してから細胞分裂が始まるまでの間に、しらみつぶしに全部潰されてなくなる。それだけ精子のミトコンドリア遺伝子を受け入れると、子孫に悪影響が起こるということで、母親からだけこの遺伝子がつながっていくという仕組みになっている。                               

 

生物はミトコンドリアを取り込んだことによって進化した。単細胞の微生物がミトコンドリを取り込んだことによって動物になり、植物になり、細胞分裂してどんどん大きくなって人間になった。             

 

ミトコンドリアは、エネルギーを供給するだけでなく、老化したり、傷ついたりすると、活性酸素を出して細胞にダメージを与える。                                           

 

 

人間がアフリカで生まれ6万年たって地球上に広がった。その過程で、各地で色々な野生の植物と出会った。野生の植物を持ちながら各地に広がった。世界中で食べているものの原産地は、それぞれいろいろなところの作物を人間が育ててきたという歴史がある。                      

 

ひょうたんが、人間が栽培し始めた最初の植物ではないかという説がある。アフリカを6万年前に出た人類が、最初からひょうたんを栽培しながらそれを持って各地に広まって行ったのではないかと。世界中の様々なひょうたんのミトコンドリア遺伝子はどれも全く同じだそうです。                 

 

ひょうたんの中で、くびれのないものは夕顔(カンピョウの原料)で苦味が無い。ひょうたんは苦くて食べられない。くびれのあるのは遺伝子としては"劣性"形質、くびれの無いのが"優性"形質。また、苦味のあるのが優性形質で、苦くないのが劣性形質。                                 

 

苦いひょうたんと、苦くない夕顔を掛け合わせると、1代目は優性だけができるので、くびれの無い夕顔型で苦いものができる。これが優性形質だけができる「F1(一代交配種)」というもの。  

 

優性・劣性というのは本来おかしい。「顕性」「潜性」というべき。F1を意味するハイブリットとは、特に優れたものを意味しているわけではない。

                                       

 

もともと種というのは、その土地その土地に合わせて育って行く。大根なども元はそんなに種類が無かったのが、土地が乾燥・湿潤、耕土が浅い深いなどによって、いろんな形に変化して行った。        

 

固定種の時代には、そこで種を採り続けると、どんどんその土地にあわせて野菜は変化して行き、江戸時代末期には、大根は200種類とも300種類ともいわれるほどまでに全国にひろがって行った。

 

野菜は自分の特性を活かして生きている。早く育つものと遅く育つものがある。遺伝子に多様性があれば、どれかが自分達の子孫を残す事ができる、これが本来の自然のやり方。            

 

 

なぜF1が増えるようになったかといえば、第二次世界大戦後、爆弾の原料の窒素が余ったため、余った窒素を農業に使い始めたところ、それまでの品種は延びすぎてばたばたと倒れ、いくら肥料をやっても倒れない米や麦に改良して行き、そこから肥料をやることが前提の農業に変わって行った。農薬は毒ガスを転用したもの。                                             

 

「緑の革命」とは、品種改良した一代交配種を、化学肥料と農薬を使った栽培。さらに石油はビニールになり、周年栽培の農業になって行った。                                        

 

 

最近のF1を作るときに利用される「雄性不稔」は、ミトコンドリアの遺伝子が傷ついたために起きる。ニンジンの向陽2号も雄性不稔で作られている。                              

 

雄性不稔は赤玉ねぎに初めて見つかった。その後世界中に広がった。雄性不稔とは男性不妊である。それはミトコンドリアの変異が一因で、雄性不稔の子どもは全て雄性不稔になる。        

 

小瀬名大根にも雄性不稔が見つかった。その雄性不稔因子は、大根ばかりでなく、それから全てのアブラナ科のF1作りに使われるようになって行った。(例:キャベツの金系201EX、郷ひかりSP、それぞれ後ろに付いているEX、SPが雄性不稔で作られたことを表している。)1940年代以降、雄性不稔が増えるにしたがって、人間の男性不妊が増えてきている。                    

 

ごぼうは放射線を当てて品種改良されたものがある。放射能による突然変異のごぼう。放射線ごぼうである。初めは「コバルト早生」と言う名前が付いていた。それが今では「てがるごぼう」「サラダごぼう」と言う名前で売られている。                                        

 

遺伝子組み換えは、アグロバクテリウム(植物のがん菌種)を用いる。排水の中から見つかった細菌にアグロバクテリウムを取り込んで作られる。                                

 

ターミネーター遺伝子は、モンサントが独占し、現在は凍結中。しかし、バイエルクロップサイエンス、シンジェンタも開発中である。                                          

 

タキイの株は非公開であるがサカタは公開。株を守らないと、将来バイオメジャーに乗っ取られる危険がある。しかし、タキイも、遺伝子組み換えを、雄性不稔の遺伝子を組み込んだ種によって作る事を、現在開発中の模様。                                              

 

  

(質疑応答)

豆は混雑するか?インゲン系の豆、さやごと食べられる豆(虎豆)に、他のものが混ざったようで、三毛猫みたいになってしまった。(北海道・長谷川さん)                            

 

豆は混ざらないのでは。うちのタマホマレという中部地方の品種は混ざらない(中村)。        

 

豆は自家受粉するので混ざる事が無く、そのため地方品種が多い。突然変異か気候変動の所為か、他の品種が混ざる事はまず無い。近頃豆にも雄性不稔のものが見つかって、それからF1を作ろうという動きが出ている(野口)。


 以上

・・・・・


その後、おきたま興農舎の小林亮さんより、「大豆も交雑する」と言う情報を得ました。ある研究機関の稲の専門家の話として聞いたそうです。だとすると、「遺伝子組み換え大豆は、他と交雑する心配が無い」ということにはなりませんね。                                     

 

固定種の種を守り広げていくことと同時に、今後ますます、世の中のタネを取り巻く動きに注意していかなければならないようです。                                         

 

今回のような集り、ネットワークが、国内や国外にどんどん広がっていったら、同時に希望も広がっていくはずです。                                                    

 

希望が未来への不安を打ち消していけますように。



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