
やまけんの
ちゃんと、
たべもの、
の秘密
おいしいものを知り尽くした食生活ジャーナリストのやまけんと、おいしい秘密を徹底取材!読むだけで、たべものにまつわる現状がみえてきます。
はじめに大地を守る会の食材は正しくて美味しいんだよ!
「やまけんのちゃんと、たべもの、の秘密」連載スタートにあたり、僕が“「ちゃんと、たべもの、プロジェクト」(TTP)で伝えたいこと”から始めさせてもらう。私事で恐縮だけども、大地を守る会と僕の関わりはかなり古い。1992年、僕が藤沢の大学キャンパス内に土地を借りて畑を開墾していた頃、新入生の可愛らしい女の子が畑にやってきた。
「やまけんさん、そんなに畑が好きなら私のお父さんを紹介しようか。」
「ん?お父さんって農家さんなの?」
ううん、と首を振って彼女は言うのだ。
「大地を守る会の会長なんだよ。」
ええええええええええ とビックリし、ぜひぜひ会わせてよと懇願。僕のごとき生意気で青臭い学生に藤田会長は会ってくれ(場所はナツカシの市川塩浜の社屋であった)、大地を守る会の目指す方向性などに僕は打ち震えるばかりだったのである。その後、大地を守る会のイベントに参加させてもらい、いろんな生産者会員さんの野菜や米を食べさせてもらった。有機肥料で栽培したトマトの味の濃さ、香りの素晴らしさに驚き、稲田米の透き通る美味しさにプロの技術をみた。同行してくれた、当時僕に畑を貸してくれていた農家さんも「あのトマトの旨さが忘れられない、あれは出来ないなぁ」と述懐していたくらいだ。
就職後、晴れて宅配会員となり約10年が経過したが、その間ずっと思うところがあった。それは「大地を守る会の食材は旨いのに、なんで世間では安全とか無添加とかいうイメージでしか語られないんだろう?」ということだ。大地を守る会に対して一般の人は、「無農薬」や「無添加」に代表されるクリーンで安全な食というイメージを持っているはずだ。でも、そうしたことに関心を持つ人はいいけれども、ごく一般の人は「いいものなんだろうけど、高いからねぇ」と言ってそれ以上の深みに入ってこようとしない。そりゃあそうだ、安全性は目に見えないし食べてもよくわからないからね。
けれども、誰でもすぐにわかる一つの真実がある。それは「美味しさ」だ。そして、大地を守る会が扱っているお米や野菜、お肉にお魚、調味料に様々な加工食品の多くは間違いなく美味しい!化学肥料を使用せず有機質肥料で技術を尽くし栽培した農産物は味わいがクリアで深みがある。贅沢にも国産飼料をベースに与えた畜産物はもっとその価値が知られて欲しいと思うほどにレベルの高い味だ。そして、それらを原料に、添加物に逃げずに作られた加工食品の数々が美味しくないはずがない。
今、世間ではTPP(環太平洋経済連携協定)についての議論が騒がしい。言いたいことはいろいろあるのだけれども、一番重要なのは「TPPはたべものの問題なんだ」ということだ。メディアはTPPを「農業などの第一次産業VS他産業」という図式で報道する。経済原理で言えば第一次産業が製造業などの付加価値の高い産業に太刀打ちできるはずがない。一般市民だってそう言われれば「農家は補助金をもらってるじゃん」などと言い、TPP開国は仕方がないよねという論調になってしまう。これはもう、メディアによる意図的な世論誘導だな。
でもね、「TPP開国すると、私たちのたべものが大きく変わってしまうんだ」ということを前面に押し出したらどうなるだろう?ただでさえ40%という、先進国中最下位の食料自給率(カロリーベース)を誇る(?)日本が、それ以下に落ち込む。飲食店やコンビニ弁当の原材料は国産か否かがわかりにくいから今までも輸入物が多かったけれども、TPP開国後はそれ以外の、目につく店頭でも、野菜以外は輸入品しか並ばなくなるだろう。もともとが保守的でヒステリックな日本の国民がそれに耐えられるんだろうか?そんなはずがない!もう一度言う、「TPPはたべものの問題」なのである。
そこでTTPだ。「ちゃんと(T)、たべもの(T)、プロジェクト(P)」、宣伝下手な大地を守る会としては面白いフレーズが出てきたじゃないかと、僕はビックリした。もともと、大地を守る会の食材にはポテンシャルの高いものが多い。けれども、ツチオーネなどの商品カタログに載っている情報だけじゃ、それらの本当の価値がわかりづらい。「ちゃんと、たべもの」には、「ちゃんと、識る」ということも含まれているはずだ。そこで、TTPプロジェクトの発端として、まずは大地を守る会の食材がどんな人の手により、どのように作られているのかを識るということからはじめていこうと思ったわけだ。取材をした僕が言うのも何だけども、、、驚きますよ!こんな素晴らしいたべものを僕らはいただいていたのか、ということを、、、
2011年8月 やまけん